あるトレーディングツールを安全に商品化するプロジェクトを題材に、私たちがAIとどのように協業し、設計・実装だけでなく、実運用で通用する精度まで詰めていったかをご紹介します。作って終わりではなく、検証し、原因を突き止め、作り直す。そのプロセスそのものが、私たちの開発の進め方です。
開発のご相談はこちら今回のプロジェクトは、成績の良いトレーディングプログラムを開発されたお客様から、「これを有料の製品として公開したいが、中身のロジックを他人に見られたり、コピーされたりするのが心配だ」というご相談から始まりました。
自動売買プログラムは、一度公開してしまうとファイルを解析されるリスクが常につきまといます。せっかく作り上げた戦略やノウハウが、簡単に盗まれてしまっては、商品として成立しません。「安全に売るには、技術的にどうすればよいか」という、事業と設計の両方に関わる課題でした。
難読化やコンパイルだけでは、時間をかければ解析されてしまう可能性が残ります。「解析されても核心が漏れない」設計そのものが必要でした。
戦略の判断基準そのものは、お客様の最大の資産です。この部分だけは、配布するファイルの中に一切含めるわけにはいきません。
誰か一人が購入すれば、無制限にコピーが出回ってしまっては商売になりません。利用者ごとに使用を紐づける仕組みが要りました。
解決の方向性はシンプルです。「判断するロジック」と「注文を実行する処理」を、そもそも別の場所に置いてしまう。お客様の手元に配布されるプログラムには、発注や決済の実行処理だけを残し、実際にいつ・どちらの方向に取引するかという判断は、私たちが管理するクラウド側のサーバーだけが行う構成にしました。
配布物を解析されても、そこに戦略の中身は存在しません。
構成の設計自体は、AIとの対話を通じて比較的早く固まりました。しかし本当に時間をかけたのは、その先です。「動くものができた」で終わらせず、元のプログラムと寸分違わぬ判断をしているかを、実際の相場データで検証し続けました。
何を配布し、何を手元に残すか。境界線をどこに引くかを最初に決めることが、以降すべての土台になりました。
クラウド側と配布側を分離し、まずは最小構成で通信が成立することを確認。ライセンス認証の仕組みもここで組み込みました。
元のプログラムと新しい構成のプログラムを、同一の環境で同時に動かし、実際のログを取得。机上ではなく実データで比較する体制を整えました。
両者が出力したログを、スクリプトで機械的に突き合わせ。人手では見逃しがちな細かな判断のズレも、数値として洗い出しました。
検証の結果、判断が一致しない場面が一定数見つかりました。原因を追ったところ、汎用的な計算処理を独自に再現していた部分に、わずかな誤差が積み重なっていたことが判明しました。
誤差の原因になっていた計算処理は、配布側のプログラムが標準機能でそのまま正確に扱える性質のものでした。「守るべき判断基準」だけをクラウド側に残す形に設計を調整し直しました。
同じ手法でもう一度、実データによる突き合わせを実施。判断の一致率が大きく改善したことを確認し、ようやく次の段階に進める状態になりました。
検証を重ねた結果、新旧のプログラムが下す判断の一致率は、次のように改善しました。
AIを使った開発は、「動くコードがすぐ出てくる」ことばかりが注目されがちです。しかし今回のプロジェクトで私たちが実感したのは、むしろその先の工程でした。実データで検証し、不一致の原因を一緒に追い、設計を見直す。そうした地道な工程まで対話しながら詰めていけることこそ、AIを活用する本当の価値だと考えています。
セキュリティやノウハウ保護が絡む要件、実運用に耐える精度が求められるシステムなど、「AIに任せて大丈夫か」と迷うようなご相談ほど、私たちにお声がけください。
開発のご相談はこちら| 会社名 | 株式会社アニーズ |
|---|---|
| 本社 | 神戸市東灘区 |